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2023年6月1日
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【2023年6月のレポート】森の資源でリース・コースターづくり〜探検して山をきれいにしよう!〜
6月は木こり技能大会で日本一に輝いた、デカンショ林業の辻さんを先生に迎えて「森の資源でリース・コースターづくり〜探検して山をきれいにしよう!〜」を開校しました!
まず参加者の皆さんが集まると、辻さんの簡単な紹介と今日のスケジュールを説明します。
その後は早速ツルを取りに山へ向かっていきましょう!
【ツルって何】
ツルには3、4種類ほど種類があり、今回見つけたツルは木などに巻きついて生えている植物です。
もみじなどの高い木にも巻きついているため、そのままだと木が育たずに枯れてしまいます。
なので、皆んなで引っ張りながら絡まったツルを取って行きます!
今回見つけたツルの名前はクズと言い、豆科の植物で根っこの部分は昔、漢方などお薬としても使われていました。
皆さんに馴染みのある、くず餅やくず湯の原料でもあります!
【ツルが材料になるまで】
ツルには見た目で大きく2種類あります。
①青々とした緑のツル
②茶色の枯れたツル
クラフトを行う時にはどちらのツルを使うと思いますか?
正解は②茶色の枯れたツルです!
①の青々とした緑のツルは、②の茶色の枯れたツルよりも弱く、切れやすいので②のツルのみ選んで取っていきます。
その時も、ツルから生えている細い枝や、葉の部分は先に切り落としておきます。
そのままでも使えますが、ツルの中にはアリなど小さな虫が入っているため、1度お湯に通していきます。
その後、乾かして水気を飛ばすとクラフト用のツルの完成です!
【ツルを編んでいく】
ツルはリースやコースターなど様々な形に編み込んで使うことができます。
今回はそんなツルを使ってカゴ作りに挑戦します!!
まずカゴの骨になるツルを7本、長いツルを1本用意します。
骨になるツルを縦方向に4本、横方向に3本並べ、そこに長いツルを3本か4本の束になったツルの下から通し、次は上から通し、交互になるように通していきます。
一周ほど回せたら、底の部分が固定されてできてくるので、ここからは1本1本ツルの上下交互になるように円状に編み込んでいきます。
最初、ある程度の形になるまでは不安定で少し難しいですが、その難しさがやっていくうちにのめり込んでいくポイントになってきます!
最後、ほぼカゴの形まで進むと、端のツルは薄い部分や、編み込めそうな部分に差し込んでいきながら形を整えます。
これでツタで作るカゴの完成です!
カゴを作っている間には辻さんから色々とお話を聞くことができました。
【なんで木こりって言うの?】
全国的には木こりと言いますが、地域によっては「杣人(そまびと)」と呼ばれる所もあります。
「杣人」の「杣」とは、昔京都の山に「杣」という山があり、京都で都を作るために「杣」の木を管理する人たちを「杣」で働く「人」=「杣人」と言ったのが始まりと言われています。
【何で木こりになったの?】
最初は木こりになりたかった訳ではなく、元気がなくなってきた地元をどうにかできないかという思いがありました。
そこから市役所に入り働いていると、農業の維持管理や、鹿が農地に降りてこないように対策をする鹿柵のための補助金を求める高齢者の方が多くいることに気づきます。
そこで、辻さんは山に大きな問題があることがわかりました。
その後、すぐに市役所を退職し、森林整備系の会社へ就職して働きながら、やりたい林業の形などが見えてきたので、今の会社を作りました。
【鹿柵問題】
篠山市の鹿柵問題は大きく、篠山市内の鹿柵を集めると関東エリアまで行けるほどの距離があり、兵庫県の鹿柵を全て集めるとフランスまでの距離があると言われています!
篠山市の鹿柵も度々壊れている箇所があり、それを毎回修復するのにはお金はもちろん、管理しているお年寄りの方が修復を行う体力にも限界があります。
また、柵をして人間の住む場所へ動物が降りてこないように対策を取ったとしても、それは目の前の対策でしかなく、根本的な解決とは言えないのではないかと感じていたそうです。
そのためには森に入って人の手で整備をすることが森を守ることも含めて、解決の1つだという思いから木こりの仕事をされています。
【山を管理するってどういうこと?】
昔は薪や炭で生活していたので、定期的に人が山に入っていっていましたが、ガスや電気が出てきたことで、生活は豊かになりましたが、そのサイクルがピタッと止まったことで、人が山と関わりを持つことがなくなってしまいました。
そこから何十年とたち、昔と同じような生活に戻すことは難しいですが、まずは山に入って人の気配だけでも作ることが、鹿や動物が降りてこない、荒れた山を作らない、山を管理するという事に繋がっていきます。
「山を守る」「自然を守る」など昨今よく耳にする言葉だと思います。
実際に私たちが行うことが、目に見えてすぐ実感できることではないかもしれませんが、今の私たちの行動によって、将来自分の子供や孫が日本の山を見て素敵だと感じてもらう1つの要素にはなっているのではないでしょうか?
山と関わりを持つのでも、少し山に入って見ることだけで山や、山に住む生き物、そして山のふもとに住む私たち人間のためにもなっています。
これからも「草むらの學校」では今回の様なプログラムを通して1人でも多くの方に山の現状や魅力を知ってもらえればと感じました。